10月決算議会・総括質疑で
江藤博美の10月決算議会総括討論
質問
地域コミュニティを担う自治組織の現状はどうなっているか。
答弁
全市の自治会・町内会の数は、平成20年度2,271となっており、人口増加に伴う住宅開発等に伴って緩やかな増加となっている。自治会・町内会への加入率は、平成18年の自治会・町内会アンケートからの推計によると、90.9%という結果が出ている。
質問
18年度の推計加入率がおよそ90%だということなら、世帯数でいくとおよそ62万世帯が加入していることになる。地域コミュニティ自治組織の自主財源は主に自治会・町内会費で、月額300円~1,000円程度の幅をもってそれぞれ運営されている。
仮にその平均値が月額500円だと市全体で月額約3億円、年間37億円の自主財源で運営していることになる。当市の平成20年度コミュニティ活動支援等の支援費総額はいくらか。
答弁
平成20年度は23億8,700万円余。うち、公民館整備15億9,700万円余が含まれている。
*公民館整備は22年度でおよそ当初の150坪館への整備方針を達成するので、23年度からはある程度の減額となる。
質問
地域コミュニティを形成する自治組織などが、行政のパートナーとしてきめ細かな公共サービス等の担い手及び提供者となることが、住民の満足度を高めていくような「新しい公共」という考え方がある。私は、この「新しい公共」という考え方を公益事業として位置付け、この担い手である地域コミュニティの自治組織を支援体制を構築するには、もっと基本的な公的支援の方法を検討することが必要と考えている。
今や国から自治体への権限移譲という地域主権の思想は、国の最も重要課題となっている。この地域主権の考え方は出来るだけ政治の意思決定と執行を国民の近くで決定し、透明度を高め、民意がより反映できるものにすべきというものである。そして、「国と地方との協議機関を正式に設置すべきではないか」という話が総選挙の大きな争点になった。
前の鳥取県知事で慶応大学大学院の片山善博教授は「地方分権改革は住民の便宜向上のためにこそ必要な改革である」と地域主権への改革を訴え「その目的は、知事や市町村長の権限を強くすることでもなく、本来の主役である住民の意思を自治体行政に反映させ、住民の政治参画の機会を拡大することだ」と主張している。
この考え方を、当市の中に置きなおしたとき、地域コミュニティを担う自治組織に対する再評価に本格的に取り組むことこそ当市行政の重要な課題と思うが見解を示していただきたい。
答弁
市民の意見を市政に反映することは民主主義の基本であり、行政のあるべき姿だと認識している。このため市においては、市の責務として実施する事業とコミュニティが自治のために実施する事業の役割分担に十分留意するとともに、住民の自治によるコミュニティと市との関係のあり方についても、今後しっかりと考えていきたい。
質問
今のボランティア運営に依拠している当市の先端行政の在り方を改革し、自治組織の自立運営支援とその周辺環境の法的整備、活動の実態的保障の検討にはいる時期が来ていると思う。
地域主権の動きの加速化が予想される中、市役所内部での分権などをにらんで「地域主権室」のような部署を設置し、国に対するのと同時に、地域住民に対しても新しい公共を担っている自治組織(加盟世帯62万)の再評価と支援のあり方を根本的に見直すべき、と思うが最後に市長の見解を。
答弁
市とコミュニティが、これからも素晴らしいパートナーとして、住みよいまちづくりを進めて行くことができるように、市内の自治組織をはじめとした幅広い方々にご意見を伺い、住民主体の理想の自治のあり方や、ご提案の「地域主権室」などについて、国や他都市の事例も参考としながら研究を進め、市民の期待に応えることができるよう、一歩また一歩とステップアップしていくようにしたい。
9月議会の動き
9月議会は衆議院選挙直後の議会となり、選挙の興奮冷めやらぬ中で開かれました。
議案審議は、福岡市が26年度を目標にこども病院の移転作業をすすめている「平成21年度福岡市病院事業会計補正予算案」について各会派からの質問が集中しました。
新病院基本構想で経営のスキームを民間資金を一部活用して行うPFI方式の基本方針を示し構想に着手するための予算案で、どのような手法が病院の安定経営と高機能病院を作り上げるために適切か、を問うものです。私たち民主・市民クラブは、こども病院という公益性と病院機能の充実、そして、コスト評価を一体のものとしてバランスをもって組み立てることに腐心しました。その上で慎重な審議の下、執行部原案に賛成しました。
また、国の第二次補正、経済・雇用対策事業等に関わる補正予算の審議も行われ、新政権になってからの補正予算の見直しや凍結等の動きがある中、議案で提示された補正内容には何ら影響がなかったこともあり、原案通り議決されました。
一般質疑では、7月末に北部九州をおそった集中豪雨による水害対策、そして新型インフルエンザ対策についての早期対応を求める意見が多くの議員から出されました。
*水害対策については、改めて都市圏内の水利対策として、中小河川治水対策の根本的見直しが喫緊の課題となっています。私は、このような事業こそ必要な公共事業として、再整備を急ぐ必要があると考えています。