江藤博美のまちレポート

福岡市議会議員 江藤博美(福岡市民クラブ)は福岡市西区や福岡市のまちづくりにむけて”動く・つくる・かえる”

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更新日 2019-03-28 | 作成日 2007-10-16

欧州視察.jpg 私はかねてから“福岡の森林保全と林産業の復活をめざして”議会で度々質問し、行政がこのテーマに関心を持つよう取り組んできました。そして、より多くの議員に関心を持ってもらおうと昨年から林産業と森林保全の先進国である欧州への視察を呼びかけ、昨年9月末、超党派7名の議員による視察団が出来ました。このまちレポートを介して本号から3回に分けて視察の報告をしていきます。
 視察は、昨年9月25日から10月2日にかけて実質6日間の訪問でした。メンバーは、光安力・打越基安・大原弥寿男(自民会派)、江藤博美・阿部正剛・田中丈太郎(福岡市民クラブ)、鬼塚昌宏(みらい福岡)の各議員と民間の企業から4人、合計11人で、フィンランド、ラトビア、オーストリアの3カ国を訪問しました。

9月26日(月)
■視察先 Misawa Homes of Finland Ltd

 (ミサワホーム オブ フィンランド)

  • 設立 1994(平成6)年8月  従業員数 34人(日本人駐在1人)
  • 生産能力 82,000㎥/年 工場敷地 45,652㎡

ミサワホーム_フィンランド社全景.jpgミサワホーム オブ フィンランド社の全景

社内会議室でのヒアリング.jpg社内会議室でのヒアリング

■視察目的
 日本企業(現地法人)における100%木材利活用の状況調査
1.ミサワホーム オブ フィンランドの設立目的

ミサワホームが日本国内で使用する木質パネルの芯材をスプルース(トウヒ)から製材し、その約99%を日本向けに輸出することを目的として設立。
現在、40フィートコンテナ5台分を毎日日本に輸出し、ミサワホームにおける日本国内消費量の約65%を賄っている。

2.フィンランドを選んだのか?

  • 国土の73%が森林。(※因みにスウェーデンは69%、日本は68%)森林の管理状態が良く、伐採と自然枯渇の合計量よりも成長量が大きい。北緯61度に自生する木の種類として、アカマツ約50%、スプルース(トウヒ)約30%、白樺約17%。伐採樹齢は70~80年
  • 伐採から2年以内に植林をする旨が森林法で定められていることなど森林保護の観点も重視。
  • 寒冷地で年輪が密になっており、平地に育っているため芯が中心でまっすぐに成長していることなどから強度のばらつき、製材・乾燥後の変形が少なく、品質が安定。
  • 平地であるため大型重機で森に入ることができ、伐採作業が機械化されていることから作業効率が高い。

3.樹皮、のこ屑、チップなど副産物の利活用

  • 樹皮、のこ屑は隣接するミッケリ市の火力発電所の燃料用として工場から直接パイプラインで供給し、必要燃料の約10%を賄っている。また、工場へ供給された電力は乾燥用として使用。チップは紙パルプ工場の原材料へ。

4.現地、地域社会への貢献

  • 植林活動を定期的に行うなど森林資源の保護活動に取り組んでいる。

5.まとめ

  • ミサワホーム_ライン.jpgミサワホーム オブ フィンランド社工場最初のライン間伐や伐採、植林など生産活動と森林保護の両面から計画的に森林の管理が実施されている豊かな森林資源を背景に、加工から製品化、出荷までオートメーション化された工場で生産活動が行われており、その過程で発生した樹皮やのこ屑は隣接する火力発電所の燃料用として、またチップは紙パルプの原料として余すことなく利活用されている。
  • 品質の優れた木材を調達し、環境面に配慮しながら安定的に生産活動が行われていることなど、森林産業が成り立っている実態を確認することができた。
  • フィンランドは全体的に森林が平地であることから、重機で森に入ることができ、機械での伐採で作業効率が極めて高い状況にある。

6.工場視察結果によるいくつかの考察

  • 管理センター.jpg原木をラインに組み込む管理センター大部分が平坦な林地で大型の林業機械が直接林区に入り、伐採・造材・集材・積込・運搬とほぼ全ての作業において機械化しており、林区での人力の作業は機械操作に限られる。
  • 日本には米国やカナダ、南米、東南アジア等、世界各国から木材が輸入されるが、為替の変動による影響の他に輸出側の政策や事情により輸出が滞ったり大きく価格が動いたり、政府の意向で関税が数倍に上がったりと不安要因が多い。国内の流通や製品の仕様変更にも影響することが多く、ミサワホームオブフィンランドの良質の製品を安定的に供給するという趣旨で22年前から現地法人を設立した先見性は評価できる。
  • 工場経営として単一樹種で運営できるということは工場設備も最小限に絞れるし、人件費や消耗品も抑えられる。また、他にも仕入れルートの固定により、安定的に購入でき、大量購入で価格も安価に仕入れできることであろう。
  • スプルース(トウヒ)は強度も有り、直材が取れやすく、偏心(木材の中心が偏る)が少ないなど、製材加工には最適な要素が揃っている。皮剥のラインもシンプルに設置でき、スピードも早い。その皮剥材の投入速度に製材ラインが負けずに、滞ること無く流れて人員も最小限で稼働できている。
  • 製材もログスキャナーでどのようにカットするのかをソフトが判断し、多軸のギャングリッパーで流れを止めることなく一瞬で何枚もの製品にしている。背板や端材はそのままチッパーに入り、隣接する火力発電所に送られ、素材をムダにすることはない。さらにその発電所から電力と共に木くずからのボイラーの蒸気が還流し製品乾燥の熱源となっている。
  • 森林の再生産にも投資して、植林や環境活動にも積極的に参加しているとのこと。日本の企業でありながら自国への利益追求だけではなく、フィンランドの木材産業に貢献していることも頼もしい。

大型トレーラー.jpgこのような大型トレーラーが次々と原木を搬入していた

ミサワホーム オブ フィンランドで生産される集成材は、日量コンテナ5台分を安定的に日本へ輸出し、同社の建築資材のほとんどを賄っているという。遙か北欧から供給される建築資材の製作工場を目の当たりにして、なぜ日本の国内でこのような工場と製品開発が滞ったのか。あらためて考えさせられた。今や国内の森林資源は杉や檜を中心に世界有数と言われながら海外からの輸入に依拠しているという皮肉に、国内林産業政策の貧困を恥じるばかりだ。

 一地方自治体でも取り組み可能な施策の一歩は、公共が林産業のインフラ整備に先行投資しなければ前に進まないことを、同社の視察で確認することができた。

※次号は、ラトビアのラトビア・フィニアリス社(北欧最大の合板メーカー)視察の様子を報告します。


 12月議会は、12月14日から22日まで開かれ、同11月8日博多駅前2丁目信号機付近の道路陥没事故について、全会派から質疑がありました。いずれの質疑も、地下鉄工事に係る過去2回の道路陥没事例に触れ、なぜ今回の事故を未然に防げなかったのか、これまでの事故を厳しく問いながら、今回の事故原因は何だったのか、責任の所在はどこなのか、誰なのかを詰めるやりとりが交通事業局と市長にぶつけられました。我が会派からは太田英二議員が会派を代表し質問に立ちました。詳細は「福岡市民クラブ 議会通信 vol.69 2017年 新春号」をご参照下さい。

西日本新聞電子版事故当初.jpg

西日本新聞電子版_復旧後.jpg

写真は、西日本新聞電子版(事故当初と復旧後)

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