江藤博美のまちレポート

福岡市議会議員 江藤博美(福岡市民クラブ)は福岡市西区や福岡市のまちづくりにむけて”動く・つくる・かえる”

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更新日 2019-03-28 | 作成日 2007-10-16

9月27日(火)(3日目)
■視察先
ラトビア・フィニアリス社(北欧最大の合板メーカー)

 ラトビアは、フィンランドのヘルシンキ空港からラトビアの首都リガ空港までプロペラ機で70分ほどの隣国です。ラトビア・フィニアリス社は、リガ空港からさらに専用車で30分ほどの郊外に広大な敷地を有する本社があります。

ラトビア共和国について予備知識

  • バルト海東岸に南北に並ぶバルト3国の一つ。北はエストニア、南はリトアニア、東はロシア、南東はベラルーシと国境を接する。
  • 面積は九州本島の約二倍。人口228万人。通貨はユーロ。
  • 首都はリガで人口約74万人の港湾都市。
  • 第一次世界大戦後の1918年にロシア帝国から独立、第二次世界大戦中の1940年にソビエト連邦に占領された。翌1941年独ソ戦でドイツが占領、大戦末期1944年ソビエト連邦が再占領し併合。
  • バルト三国の一つで首都リガは、日本の神戸市と姉妹都市。
  • ラトビアの林業
    • まちレポートimage1_H290626.jpg       旧市街の中央広場 有史以前は90%以上が森林だったが、1923年には25%まで減少した。1994年(旧ソビエト連邦から独立直後)には44%まで回復し、2010年52%へと増加傾向にある。国有林50%、個人所有40%、企業10%。
    •  松が4割、白樺2割強、モミ2割強、その他。林業・木材加工業は国内の重要産業の一つ。
    •  1930年代から持続可能な森林経営をめざし、スウェーデン方式の森林施業で、50年〜100年ごとの一斉造林、間伐、皆伐を行う。自然環境保全と利益確保のバランスをどう整えるのかが課題。

■視察目的
バルト3国にあって現在ではスーパー森林地帯を有するラトビアの森林資源活用状況、とりわけ木材加工の現場を視察すること

  • 会社の主な木材加工は、白樺の合板を製造しており、白樺は地元の主要な資源。バルト3国の45%が森林であり、赤松、欧州唐檜、白樺の3種が生息している。
  • 会社としての優位性は、資源が近隣の平地に豊富にあり、搬出から加工まで機械化が可能であること。ヨーロッパ全域における林業の割合は4.1%であるのに対して、バルト3国内では45%と非常に高い。スーパー森林地帯と呼ばれている。

まちレポートimage2_H290626.jpgラトビア・フィニアリス社玄関からの全景

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  • バルト3国の林業開発の歴史は古く、リーマンショックでの落ち込みはあったもののそれ以降右肩あがりで回復してきている。
  • 地元の地名を入れ「RIGA」という商標で、全世界60か国1,700店舗で販売している。11か国に支店があり、EUで12%のシェアを持っている。製造所も、バルト3国とフィンランドの4か所に設けている。
  • 売り上げは、200万ユーロで、全世界に2,500人の従業員がいる。親会社は1992年に設立して、今の形になった。
  • 合板製造を中心に、製造工程から求められるオリジナルな機械の製品開発にも取り組んでいる。また「耐火紙」など様々な加工製品開発を行い多面的な活用に力を注いでいる。
  • 女性従業員の数が多いと感じ、その理由を尋ねると、女性の方がきめ細やかで、繊細だからということであった。男女による賃金に差はない。
  • ラトビア共和国リガ市は、完全失業率は6%。全国的に見ても低い数字で、良い労働力を見つけるのが難しい。この工場の平均年齢は42歳。若い労働力、優秀な労働力を得るためにも、魅力的な環境づくりが必要。

9月28日(水)(4日目)
■世界遺産、リガ市の旧市街地の視察

  • 1201年ブレーメンの僧正アルベルトによってドイツの騎士団のバルト地方征服の根拠地となる。
  • 16世紀から19世紀にかけてポーランド、スウェーデン、ロシアの支配を受けた。
  • バルト3国は80年代半ばからソビエト連邦からの独立を求め、1989年8月23日、エストニアからリトアニアに至る、総距離600㎞に及ぶ道のりを、200万人の人々が手を繋ぎ「人間の鎖」によって独立を訴えた。
  • 1991年、ついにソビエト連邦はバルト3国からの撤退を余儀なくされ武力によらずに独立を果たす。
  • リガの街は歴史の変転にもまれながらもロマネスクからバロック、ユーゲントシュティール建築に至るまで様々な建築様式が残る、街全体が巨大な建築博物館として、今日世界遺産となっている。
  • 1997年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録され、その旧市街は、ヨーロッパをはじめ世界中からの大勢の観光客でにぎわっている。
市場はどこの国や地域に行っても、市民の暮らしぶりが伝わってくる。ここラトビア・リガの市場はサーモンをはじめ魚介類の豊富さと、寒い国ならではの瓶などに詰められた保存食、チーズをベースにした嗜好品などが目についた。日本国内の市場にはない風景である。

リガ旧市街地

  • まちレポートimage5_H290626.jpg       リガ中央市場内の店3世紀前までは木造建築が主だったが、ドイツの騎士団の根拠地になって以来、ドイツの商業都市の特徴が多くみられハンザ同盟時代の街並みが多く残っている。ロマネスク、ゴシック、バロックなどの建築様式が混在する古い建物は綺麗に保存され石畳の路を歩くと中世そのもの。静かな佇まいで、古い建物にはカフェやレストランそして上品な土産物店が観光客を楽しませている。
  • 「昔、ダウガバァ川に醜い魔物がいたという。ある日魔物は川の中から町の人たちに『この町はこのままでいいのか?』と尋ねた。町の人たちは『このままで充分です』と答えた。すると次の日魔物によって町は水浸しにされてしまった。それ以来町の人たちは『まだ充分ではありません』と言いながら、いつも町のどこかで工事をするようになった」という伝説から、旧市街地は古い建物であっても小奇麗にして今日まで大切に保存されている。

まちレポートimage7_H290626.jpgリガ旧市街地の路地

まちレポートimage6_H290626.jpgリガ旧市街地の中央広場

リガの旧市街地は、中世の街にそのままタイムスリップしたように、建物だけではなく足元の石畳から狭い道路まで保存されている。古い石畳などはとても車椅子などでは動けない凸凹のバリアーでこのままでいいのだろうかとさえ思った。

ブレーメンの音楽隊の像

  • まちレポートimage8_H290626.jpg聖ペテロ教会の裏にグリム童話の一つ、ブレーメンの音楽隊の銅像がある。多くの観光客が触っていくのか銅像の頭部がピカピカ光っている。ハンザ同盟の姉妹都市のブレーメン市から寄贈されたとのこと
  • “百万本のバラ”の原曲は
  •   ラトビアの歌謡曲でした
  • “三人兄弟の家”という建物の前で2人の老人がロまちレポートimage9_H290626.jpgシアの歌謡曲「百万本のバラ」をホルーンで奏でていた。懐かしい曲だったので立ち止まって聞き入っていたところ、通訳の説明では、この歌はラトビアの歌謡曲が原曲で「ラトビアが近隣諸国から絶えず侵略され蹂躙されてきた歴史の悲劇を歌ったもの」で、美しいメロディーのなかに民族の自尊心とソ連への抵抗の思いが込められている」とのこと。当時のロシア人は言語の意味を解せず、ラトビアの詩人が旧ソ連時代に「ラトビアの悲劇の歴史」を「幸せをあげ忘れた」と表現したことから「女優に片思いをした貧乏画家の恋を歌ったロマンティックな詩」として、ロシアで歌い継がれたそうだ。日本では、加藤登紀子さんが歌っておなじみである。

※次号では、視察訪問国最後になるオーストリアの林業状況について報告します。
◆ 6月議会定例会について…
福岡市民クラブ・ウェブサイトで概要報告を掲載しています。(私は今回質問していません)




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