江藤博美のまちレポート

福岡市議会議員 江藤博美(福岡市民クラブ)は福岡市西区や福岡市のまちづくりにむけて”動く・つくる・かえる”

| HOME | まちレポート201903 |

更新日 2019-03-28 | 作成日 2007-10-16

● 私の立ち位置

 私は、議会に籍を置かせてもらうようになって20年間、住民自治の支援に関わる制度設計について所管局の職員と議論し質疑を重ねてきました。それは議員になる前約25年地域活動に関わってきた経験から「市議会議員こそが住民目線で行政のあり方を問うべき」というポリシーがあったからです。

えとう博美005-1.jpg

● 住民自治制度の改革

 幸運なことに、2期目の平成16(2004)年に地域コミュニティを担う住民自治支援の大改革を経験し、その一端に関与させてもらいました。今年で16年目を迎えた「自治協議会制度」による住民自治支援制度の創設です。創設当初は、それまでの「町世話人制度」廃止に相当数の校区に戸惑いがありましたが、およそ3年で市内ほとんどの校区が新しい自治協議会制度に理解を示し、これを活用して地域の自治運営を行うようになりました。
 町世話人制度から自治協議会制度への制度改革は、市史に残る画期的な事業であり自治協議会を行政にとって重要なパートナーとして位置づけたことは大きな進歩でした。この制度改革を契機にして行政の住民への視線は大きく変化したと思います。

● 自治協議会制度、制度設計の不備

 この自治協議会制度創設には住民側からすると大きな弱点があります。それは住民自治を担う団体と行政の関係について、互いの信頼関係によるパートナーシップに依拠したもので、条例根拠を明確にしないまま制度を構築したことです。
 住民自治を担う団体側は法令根拠を持たないパートナーとして著しく不平等な関係が今日に至って改善されていません。制度の設置要綱はあるものの町世話人制度のような行政との関係を公的にうたうものはどこにも見当たりません。

● 自治協議会の今日的課題

 自治協議会の今日的課題は、相次ぐ自然災害対策や地域コミュニティ維持のための後継者を確保しやすい条件整備です。本市は、近年になってようやく自治協議会に加えて自治会・町内会というコミュニティを大切なパートナーとして位置づけるようになりました。一歩前進ですが、いまだに自治協議会、自治会・町内会の自立経営支援につながる改革に至っていません。

質問要旨

 近年のコミュニティ関連予算は、平成30年度で約63億円弱、過去10年の予算を平均しても平均47億円程度拠出されています。ほぼ、恒常的経費と言っていいと思います。つまり福岡市にとって財政拠出額からみても基幹の事業であることは間違いありません。
 自治協議会、自治会・町内会を任意の団体という認識を前提とし、それに加えて行政のパートナーとして市条例できちんと位置づける制度設計が必要ではないでしょうか。
 先日の市長市政運営方針では「自治協議会と福岡市が様々な主体と共創の地域づくりを推進する」と述べられていますが、住民自治を支援する制度設計についてどのように検討されてきたのか、これからどのように検討されるのか伺います。

答弁

 平成30年度は、加入案内チラシ・会計報告書などの各種様式等を作成し、データで提供することにより、自治会・町内会の活動を支援する「自治会活動サポート事業」を実施している。今後とも、「共創」のまちづくりに資する取り組みについて検討していく。


新たな制度設計にむけて 提案と質問

 第一段階の実行課題は、当市が「住民自治団体を行政のパートナー」と市条例できちんと位置づけることです。様々な地域活動支援として一括補助金を校区自治協議会に継続して15年間交付してきており、地域コミュニティ関連事業は安定的に定着していることから、これを根拠に住民自治支援の市条例を設置し、自治協議会・それを構成する自治会・町内会や住民自治団体を条例の中で明確に「福岡市域で住民自治の公益活動を担う福岡市の行政パートナーである」と位置づけることです。これは行政側の責務です。
 第二段階の制度設計は、地域コミュニティを維持・活性化していく様々な公益事業を、本来行政が担うべきものと住民が担うべきものとに区別し、行政が担うべき事業については委託事業として住民自治団体に提示する。受けるかどうかは住民自治団体側に判断を委ねる。住民自治団体は、この事業を受けることのできる市の認定団体として登録すれば優先的に委託を受け「自らの自治経営に資することができる」この仕組みを整備することによって、自治会・町内会は、役員報酬のなど必要な経費に当てられるなど経営改善を図り、役員のなり手不足にも対処することが可能となります。行政は住民自治団体の経営環境の改善を図るための条件を整備に資する条例として機能させ、恒久的施策として位置づけることが重要なのです。所見を伺います。

答弁

 地域コミュニティの推進に資する制度については、本年度実施した「自治協議会・自治会等アンケート」においても、条例の制定など行政に求める取組みを聞いており、アンケート結果もしっかりと分析したうえで、地域の皆さまをはじめ、幅広い関係者と十分に意見交換しながら検討していく。

● 私の意見

 近年、情報通信機器によって民意は様々な形で推し量れるようになってきました。しかし、地方自治体が持っている二元代表制という優れた民主主義の装置にまさるものではないとは確信しています。人と人が直接に意見を交わす行為は、人の知恵を育み、互いに共生の道を模索する営みです。私は、この二元代表制に住民自治組織や市民の団体組織をくわえ、三つ巴で日常的に知恵をすりあわせていく仕組みを、行政も議会も考えていくことが地方自治体の役務だと思います。住民自治支援の制度設計を通じて議論が前に進んでいく事こそ福岡市の成長の裏付けになると確信しています。

質問

 市の調査では、私たち議員有志の勉強会が要望した公共交通空白地などの距離要件、高低差見直しで①生活交通空白地・不便地の対象人口箇所数は、空白地の場合対象人口は270人から想定で約2.4万人の90倍、箇所数では現行4箇所から48箇所②不便地では現行の想定人口が4300人に対して約35倍の15.2万人、箇所数では現行32箇所に対して147箇所が対象域となることがわかりました。この対象領域の見直しに高低差は除外されていますので高低差25mまで緩和となれば更に広がると思われます。しかし、所管局は今回調査の分析結果を現行制度の距離設定は妥当な設定であると考えられるとしています。
 私たち勉強会のメンバーに「日常の生活で買い物や通院などで生活エリアを移動する際に不便を感じている」という声が数多く寄せられており、今回の調査は、私たち議員が肌感覚で受けている生活交通の市民ニーズとは相当のずれがあると考えています。
 今回調査で明らかになった距離設定を見直した場合における不便地は対象人口152.000人、箇所数にして147か所。これに高低差の見直しを加えた調査対象の絞り込みをして再調査することが是非とも必要と考えます。高島市長は市政運営方針で生活交通の確保・支援に取り組むと述べています。是非とも再調査を求めるものですが、所見を伺います。

答弁

 今回の調査では,高齢者の移動に関し、公共交通のみならず、様々な実態がみえてきたところであるが、生活交通の確保については、高齢化の進展などに伴い、今後も重要性が高まってくると考えている。引き続き、休廃止対策や不便地対策などにしっかりと取り組んでいくとともに、地域のご意見を伺いながら、関係局と連携して、総合的に生活交通の確保に努めていく。

地域公共交通ミニバス.JPG日常生活に欠かせない橋本駅循環ミニバス

質問

 近年の相次ぐ豪雨災害もあって、国は2024年度に森林環境税を創設し新たな財源を確保することとしています。また、これに先行する形で来年度から森林環境譲与税が地方自治体に交付されることになっており、来年度の譲与総額は200億円となっています。福岡県も国に先んじて平成20年度に導入した森林環境税を今後も継続することを一昨年に決定しています。福岡市域の河川も近年集中豪雨によって堤防の損壊や溢水など市民生活に大きな影響を及ぼしかねない災害が相次ぐようになりました。昨年7月には室見川が氾濫危険水位にまで達する豪雨など早急な対策が求められています。
 川上が、本来もつ森林機能保全のための荒廃森林対策と豊かになっている林産資源を有効に活用する公共施設の木質化やバイオマスエネルギーへの転嫁など林産業の活性化が急務となってきました。
 市長は、まず川上対策に力を入れ、加えて公共建築物の木質化を図るためのガイドラインを策定し林産業の復活を視野に入れた施策を講じるべき、と思いますが所見を伺います。

答弁

 平成31年度から新たな森林管理制度が導入されることにより、一層の整備や適切な管理を進めていく。木材利用については,地域産材を活用した公共建築物などの木造・木質化を推進する。国の森林環境譲与税などを図りながら、森林の整備や林業の活性化に取り組んでいく。

能古島 のコピー.jpg博多湾にうかぶ能古島は市民のオアシスです


質問

 川上の森林整備と併せて、川下となる博多湾の本格的な再生事業も大きな課題として残されています。都市の成長とあわせて博多港湾事業は、豊かな漁場でもあった博多湾に航路の浚渫や埋め立てなどの港湾施設の拡充やIC事業などで大きな負荷をかけてきました。現在も大型の貨物船やクルーズ船などの寄港で賑わい、インバウンドの急増や過去最高を毎年更新しているコンテナ取扱個数も堅調な伸びをみせ、港勢の動向も激しくなってきています。  
 この機をとらえて、かつての博多湾が持っていた豊かな海洋資源環境を再生させる事業に本格着手すべき、と考えます。所管する農林水産局・環境局・道路下水道局そして港湾空港局が力を合わせて博多湾の再生事業に取り組むべきと考えますが、関係所管局の所見を伺います。

答弁

環境局

 水質・底質などについてモニタリングを実施し、「博多湾環境保全計画推進委員会」による評価をふまえ、博多湾環境保全計画の推進に努めている。

農林水産局

 森林は、水源涵養や地球環境保全、土砂災害防止など多面的機能有し、市民に様々な恵を与えているため、森林を適切に管理することは大変重要である。
 木材利用についてはガイドラインを策定し、「福岡市内の公共建築物等における木材の利用の促進に関する方針」をより実効性のあるものとするため、地域産材を活用した公共建築物などの木造・木質化を推進する。

道路下水道局

 都市活動で生じた汚水を効率的に処理するため、下水道の整備を着実に推進し、博多湾の水質保全に努めてきたが、さらに博多湾の富栄養化対策として、すべての水処理センターで高度処理を導入し推進している。

港湾空港局

 市民や企業、漁業関係者など多様な主体から構成される「博多湾NEXT会議」において、 環境の保全・創造に取り組んでいる。

 平成28年3月議会の代表質問で私は、都市インフラの大事業完結の方向が見えてきた途端、ウォーターフロント計画や天神ビッグバンと称する大型開発が頭をもたげ、当市の厳しい財政運営からみて妥当な政策といえるのか、財政見通しはついているのか質しました。
 ウォーターフロント計画や天神ビッグバンと称するハード整備の投資効果が市民生活に反映しないようであればその事業根拠は薄弱となります。また、昨年来インバウンド対策の象徴のようにしてロープウエイ構想が突然もち上がり、新年度予算に計上されているロープウエイ構想検討費については都市景観上からも周辺市民の理解が果たして得られるのか疑心暗鬼です。
 福岡市の都市景観は、都市区域に空港があるため航空法の制限によって建築物の高さ制限を受けてきました。この規制が結果的には福岡市の良好な都市景観を創り出しています。天神地区は、上空空間が歩行デッキなどで潰されることなく開放されていることが都市の品格を形成しています。
 今年度予算で、「博多旧市街まちプロジェクト」で博多の歴史を残す町並み保全は大変良い取り組みだと思っていました。しかしそれを見下ろすようなロープウエイ構想が突然持ち上がりました。都市景観上からも、これまで先人の労苦を台無しにするかのような事業に多くの市民の理解を得られるとは到底思えません。
 高島市長の再考を強く求めて私の質問を閉じました。


江藤博美事務所のご案内

〒819-0042
福岡県福岡市西区壱岐団地137-103
(西鉄壱岐営業所前)
TEL:092-811-8181
FAX:092-811-8754
E-mail:etohiromi@gmail.comLinkIcon

〈案内図〉はこちらからLinkIcon

inserted by FC2 system